2017年7月25日火曜日

新着ニュース


ノラネコを保護しようとした際に噛まれた女性(50代)がマダニ毒に感染し死亡したという国内初事例が報道されていました。そして厚労省は、本日、全国の獣医師等に向けて添付の通知を出しました。猫の不適正飼養が招いた、人獣共通感染症のひとつの事例が起きてしましました。情報共有させていただきます。 (2017年7月24日付け)

 厚生労働省健康局結核感染症課「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に係る注意喚起について」

 

 

 

沖縄生物学会「やんばるの森地域におけるノイヌ対策に関する要望書」を沖縄県知事、環境大臣、農林水産大臣、国頭村長、大宜味村長、東村長に提出(2017年6月15日付)

平成29年5月20日
沖縄県知事 翁長雄志 殿
沖縄生物学会 会長 当山 昌直

やんばるの森地域におけるノイヌ対策に関する要望書

2016年9月15日、沖縄島北部の森林地帯「やんばる」が国内33番目の国立公園に指定されました。また、今年2月、政府はユネスコに対し奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島を世界自然遺産の候補地として登録するため推薦書を提出し、2018年夏の登録を目指しています。これも、地元、各関係機関が連携し、それを積み上げてきた賜であり、当学会もその努力に敬意を表します。
  さて、ご承知のとおり、候補地の一つである「やんばる」では、これまでフイリマングース、ノネコ等の外来の哺乳類食肉目によって生態系に大きなダメージを受けてきましたが、関係機関による捕獲対策が功を奏しヤンバルクイナ個体群は回復の兆しが見えてきているところでした。しかし、2015年に国頭村楚洲地域においてノイヌが目撃されるようになり、2016年までには19頭の群れも確認され、今後の個体数の増加と分布域の拡大が懸念されます。2014年以降、ヤンバルクイナについては、目撃および死体に付着しただ液から採取されたDNAの解析によってノイヌによる捕食被害が確認され、他の希少な在来種への捕食が拡大する可能性も懸念されます。個体群の状況について継続的にモニタリングが行われているヤンバルクイナについては、生息状況が悪化し、ノイヌが目撃されている楚洲地域を含む一部の地域では生息確認ができない状況に陥っています。
  これまでのペットの遺棄とは大きく異なり、ノイヌは野外で妊娠個体や子犬も確認され、すでに繁殖によって個体群が維持されています。また、犬はその生態的特性から群れを形成するため、大型の動物も獲物とすることができます。元来ペットであるはずの犬が、野生化した状態となり、イノシシを捕食することも確認されています。この状況が放置されれば、ノイヌに捕食される在来生物が拡大し、やんばるの生態系は短期間のうちに壊滅的状況に陥ってしまう可能性があり、このままでは世界自然遺産の登録への影響が危惧されます。また、すでに人を襲撃した事例も報告されており、環境教育や自然教育の場としてのやんばるの活用も縮小せざるを得ない状況となっております。
  以上、やんばるの森地域における状況の深刻さと緊急性のため、沖縄生物学会第54回大会の総会(平成29年5月20日)において、以下の2点について関係機関が連携し、早急に対応していただけるように強く求めることが決議されました。ここに沖縄生物学会として要望いたします。
1.国頭村・大宜味村・東村におけるノイヌの捕獲・除去を行う。
2.沖縄島全島においてペットの遺棄防止の普及啓発を強化する
(沖縄生物学会第54回大会総会決議)
連絡先
〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1番地
琉球大学理学部海洋自然科学科生物系内 沖縄生物学会事務局
電話 098-895-8577, 8547 FAX 098-895-8576
E-mail: okibio@w3.u-ryukyu.ac.jp
送付先:沖縄県知事、環境大臣、農林水産大臣、国頭村長、大宜味村長、東村長


「ノネコ」「ニュースでQ」語彙・読解力検定 (2017515)に掲載!!

 最近のニュースからのクイズです。Q1の( )は希少動物などを襲って問題化しています。Q2の( )は「一票の格差」と深い関係のある審議会です。
 Q1 東京・伊豆諸島の御蔵島でオオミズナギドリが激減している。島は世界最大の営巣地だが、繁殖数は約10年で9割近く減った。主な原因は( )だ。( )は半野生状態の野良ネコと違い、エサなどを人に依存せず野生化。鹿児島・奄美大島でもアマミノクロウサギをはじめとする固有種が襲われるなど、被害が相次ぐ。

 Q2 政府の( )は、衆院小選挙区の新しい区割り案をまとめ、安倍晋三首相に勧告した。「一票の格差」を2倍未満に是正するため、「0増6減」に伴って1選挙区ずつ減る6県の全27選挙区を含む過去最大の19都道府県97選挙区で線引きを見直した。( )は有識者7人で構成。小選挙区の境界線の見直しを話し合う。

 ▼答えはこちらから
Q1野ネコ Q2衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)
 (東京本社で発行した4月19日付夕刊、同20日付朝刊最終版記事などから作成)


絶滅危惧種アマミトゲネズミのiPS細胞から精子と卵子作成に成功「世界初」/宮崎大学など研究チーム

 国の天然記念物で絶滅危惧種のアマミトゲネズミの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を基に、卵子と精子を作ることに成功したと、宮崎大学の本多新博士(発生生物学)らの研究チームが12日付の米科学誌電子版に発表した。絶滅危惧種のiPS細胞から卵子や精子を作製したのは世界初という。種の絶滅に備えて、iPS細胞を活用できる可能性があるという。

2017年6月27日火曜日

これからの講演会・シンポジウム


  • 201779日(日)13-16時半:<日本女性獣医師の会 創立30周年記念講演会> 
お陰様にて、当会は創立30周年を迎える事となりました。これを記念して、獣医師だけでなく、一般の方々にもお聞き頂きたい講演会を企画致しました。奮ってご参加下さい。  
  (1)ノネコ天国の御蔵島でオオミズナギドリは生き残れるか  岡 奈理子先生(公益財団法人山階鳥類研究所 上席研究員)   
(2)それでも、私たちはネコを飼う 〜野生化するネコが奪い続ける命〜長嶺 隆先生(NPOどうぶつたちの病院沖縄 理事長)  
 (3)島しょのノネコ対策、東京都獣医師会の挑戦  高橋 恒彦先生(公益社団法人東京都獣医師会 理事)
場所:中野サンプラザ8階 研修室2(JR中央線、総武線、東西線中野駅北口1分)
参加費:無料                                主催:日本女性獣医師の会,後援:LAV臨床研究会 公益社団法人東京都獣医師会 申込/問合せ:TEL 03-5701-0325  FAX 03-3723-5167   幅田 

  • 2017年7月27日(木)14時-15時半ごろ【イベント】蔦屋書店代官山店 キッズアカデミー 夏休み自由研究教室「南の島のふしぎなウサギ」
蔦屋書店代官山店主催.講演:山田文雄.紙芝居:栗原七保子・長浜瑞磨・中下留美子(ShoeZ (Shower of education activities for conservation at the Zoo)).定員:小学生30名,有料,現在申込中

    • 2017年7月30日(日)奄美大島:「第3回外来ネコ問題シンポジウム」 

    • 2017年7月31日(月)徳之島:「第4回外来ネコ問題シンポジウム」

    第3回 奄美大島の現状と課題,そしてその展望
    日時:2017年7月30日(日)12:30開場,13:30開演
    会場:奄美博物館3階(鹿児島県奄美市名瀬長浜町517)
    司会:森林総合研究所 山田文雄
    講演1 : 第1 、2 回シンポジウムを振り返って」東京女子大学 石井信夫
    講演2:奄美、徳之島、ゃんばる、西表のネコ対策の今後ヘ向けて」NPO 法人どうぶったちの病院沖縄 長嶺隆
    講演3 : 奄美大島の改正ネコ条例とは~世界自然遺産に向けた更なる課題」神奈川大学法学部 諸坂佐利
    講演4 : 奄美大島におけるネコ対策の現状と今後の課題」奄美野生動物研究所 塩野崎和美
    問い合わせ先:ゆいの島どうぶつ病院0997-69-381
     

    第4回 徳之島の現状と課題,そしてその展望
    日時:2017年7月31日(月)17:30開場,18:00開演
    会場:徳之島町生涯学習センター(鹿児島県大島郡徳之島町観2918)
    司会:森林総合研究所 山田文雄
    講演1 : 第1 、2 回シンポジウムを振り返って」東京女子大学 石井信夫
    講演2 : 奄美、徳之島、ゃんばる、西表のネコ対策の今後ヘ向けて」NPO 法人どうぶったちの病院沖縄 長嶺隆
    講演3 : 徳之島の改正ネコ条例とは~世界自然遺産に向けた更なる課題」神奈川大学法学部 諸坂佐利
    講演4 : 徳之島におけるネコ対策の現状と今後の課題」奄美野生動物研究所 塩野崎和美 問い合わせ先:徳之島虹の会0997-86-3575

    第5回 島の外来ネコ問題 対策待ったなしの現状】(仮題) 
    日時:2017年8月26日(土)12:30開場、13:00開演  18:00終了予定
    会場:早稲田大学(早稲田キャンパス3号館601教室,収容人数207名).〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1.交通:JR山手線高田馬場駅から徒歩20分,西武鉄道新宿線高田馬場駅から徒歩20分,地下鉄東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩5分,副都心線西早稲田駅から徒歩17分, 都バス学02(学バス)高田馬場駅 – 早大正門,都バス早稲田停留所,都電荒川線早稲田駅から徒歩5分.
    司会  森林総合研究所 山田文雄
    1.シンポジウムの趣旨説明   森林総合研究所 山田文雄
    2.各地の事例報告(影響,対策,課題):
     1)対策がこれからの事例
      ①奄美・徳之島:鳥獣保護の観点からの報告  奄美野生動物研究所 塩野崎和美
      ②奄美大島の現場からの現状および課題報告  奄美ネコ問題ネットワーク(ACN) 久野優子
      ③御蔵島  山階鳥類研究所  岡 奈理子
     2)対策中の事例
      ④小笠原のネコ対策 崖っぷちから脱した10年の取り組みと新たな挑戦 NPO法人小笠原自然文化研究所 佐々木哲朗
      ⑤琉球諸島 沖縄の最新の現状報告 NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 長嶺 隆
    3.ネコ問題 どうしたら解決できる?〜間違った飼育はネコを不幸にする〜 NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 長嶺 隆
    4.奄美大島徳之島からの対策の必要性(シンポジウム4回の総括から)島の外来ネコ問題解決の3つの課題 神奈川大学法学部 諸坂佐利
    5.コメンテーター 東京女子大学 石井信夫

    6.パネルディスカッション
       
    •  2017年9月8日,9日 or 11日(日時未定)「外来ネコ問題自由集会」
    外来ネコ問題研究会主催,日本哺乳類学会2017年度大会自由集会(企画中).富山大学

    • 2017年9月14日:鹿児島大学:第160回日本獣医学会大会・野生動物学分科会シンポジウム「島嶼における生物多様性保全のための外来種対策--奄美群島のノネコ問題」講演者:石井信夫,山田文雄,塩野崎和美,伊藤圭子.コメンテータ:長嶺隆,坂本紘.(講演要旨) 

    • 2017年9月18日(月・祝日)9:30-12:00日本鳥学会2017年度大会公開シンポジウム「生態学者 vs 外来生物 本気で根絶,本気で再生 奄美・沖縄・小笠原 

      場所:春日講堂(筑波大学筑波キャンパス春日エリア)
      コーディネーター:川上和人・小高信彦(森林総合研究所)
      外来生物は鳥類保全上の大きな課題となっています.特に島では問題が深刻化しており,多くの駆除事業がおこなわれています.
      しかし,各地で駆除を経験した結果,次なる問題が生じてきました.駆除の技術的限界,地元との合意形成の難しさ,予想以上に複雑な生物間相互作用などに直面し,駆除すれば解決という単純なものではないことがわかってきたのです.
      意外にも鳥学会大会では,これまで外来生物問題をテーマとした公開シンポジウムが行われていません.そこで今年は,奄美群島(亘悠哉・森林総研),沖縄やんばる地域(長嶺隆・どうぶつたちの病院沖縄,小高信彦),小笠原諸島(川上和人,堀越和夫・小笠原自然文化研)の事例を紹介して議論を行います.
      この問題は社会的な問題であり,行政や専門家のみでは解決できません.情報共有と課題解決のため,学生や一般の方も含め多様な立場の方の参加をお待ちしております.

    2017年6月9日金曜日

    「外来ネコ問題研究会」会則


    「外来ネコ問題研究会」会則

    第1条(名称)
    本会の名称は、外来ネコ問題研究会(Invasive Cat Research Japan)という。

    第2条(事務所)
    本会の事務所は、神奈川大学法学部諸坂研究室(17号館509号室) 〒221-8686 神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1に置く。

    第3条(目的)
    本会は、国内外の学会等学術団体、研究者その他専門知識を有する者との情報共有、連携を図りつつ、全国のネコ問題の実態を調査・把握し、かつその解決策を検討し、国及び地方公共団体並びにNPONGO等その他の団体への政策助言・提言、さらには一般社会への普及啓発活動等を行ない、以ってわが国の外来種問題解決及び生物多様性保全に寄与することを目的とする。

    第4条(定義)
    1 ネコ問題とは、愛玩動物たるネコの不適正飼養に起因する自然生態系への脅威(侵襲・捕食)、人獣共通感染症のリスク、悪臭、騒音等公害その他第三者への迷惑行為をいう。
    2 不適正飼養とは、不妊去勢、予防接種等をしていない個体の放し飼い又は5頭以上の多頭飼養をいう。

    第5条(入会資格)
    1 本会への入会を希望する者は、別に定める入会申込書を本会事務局に提出の上、理事会の承認を得なければならない。
    2 会員は、年会費5,000円を当該年度内に支払わなければならない。
    3 前項の年会費は、理事会の承認を以って、減額又は免除することができる。
    4 年会費を1年を超えて滞納した者は、退会したものとみなす。

    第6条(役員)
      本会運営のために、次の役員を置く。
      会 長: 1名
      事務局: 事務局長 1名、事務局員 1名
     理事:若干名
      前項の役員は、次の職務を行なう。
    一 会長は、本会を代表して会を総括し、会議を招集し議長を決める。
    二 事務局長は、会長を補佐し、会長に事故があった場合にこれを代行する。
    三 理事は、本会の運営方針を議決し、及び各種活動に参画する。
    3 役員の任期は、1年とする。但し、再任を妨げない。

     第7条(会議)
    1 本会は、年1回程度開催する。
    2 理事会は、年数回開催する。

    第8条(会則の改正)
    この会則を改正する場合には、理事会で発議し、承認を得なければならない。  

    付則
    この会則は、2016年6月9日から施行する。

    2017年5月14日日曜日

    過去の講演会・シンポジウム



    • 2015年3月1日 東京(一橋大学)環境省主催「希少種があぶない!!希少種とノネコ・ノラネコシンポジウム」山田文雄,長嶺隆,石井信夫,香取章子,安田直人
    • 2015年3月8日 大阪市(花博記念ホール)環境省主催「希少種があぶない!!希少種とノネコ・ノラネコシンポジウム」山田文雄,長嶺隆,石井信夫,香取章子,安田直人
    • 2015年7月30日 第5回国際野生生物保護管理学術大会(IWMC2015,札幌市) ”Feral cat issues on island ecosystems” Hess, S.,  Roy, S., 塩野崎和美,長嶺隆,竹中康進,佐々木,岡奈理子
    • 2015年11月23日 第21回「野生生物と社会学会」大会(那覇市).「「野生生物とネコ問題」〜許されすぎたハンターをどう管理するか?〜」長嶺隆,喜屋武尚子,諸坂佐利,佐々木哲郎,飯塚布有子,岡奈理子,山田文雄,塩野崎和美
    • 2016年2月27日 13:00-16:00 福岡市:環境省主催「希少種を脅かしているネコたち〜シンポジウム:希少種生息地のネコ問題」山田文雄,長嶺隆,諸坂佐利,石井信夫,安田直人.
    • 2016年9月17日18:30-20:30 北海道大学:日本鳥学会2016年度大会札幌.自由集会「島の鳥類とネコ問題」講演者:長嶺 隆,岡 奈理子,竹中康進,諸坂佐利
    • 2016年10月15日(土)神奈川大学:「外来ネコ問題シンポジウム」神奈川大学法学研究所主催.諸坂佐利,長嶺 隆,山田文雄,環境省
    • 2016年11月6日(日)10:30-12:30 第22回「野生生物と社会」学会大会.東京農工大学:テーマセッション「生物多様性保全地域における外来ネコ対策の早期実施−行政現場からの突破」講演者:山田文雄,塩野崎和美,石井信夫,諸坂佐利
    • 2016年12月13日(火)18:00-19:30:日本大学:「希少種保全のための野生化イエネコ対策 奄美大島と徳之島の問題」日本大学生物資源科学部主催.講演者:山田文雄
    • 2017年3月26日(日)徳之島:「外来ネコ問題シンポジウム」外来ネコ問題研究会主催,講演予定者:山田文雄,長嶺隆,諸坂佐利,伊藤圭子,塩野崎和美ほか,
    • 2017年3月28日(火)奄美大島: 「外来ネコ問題シンポジウム」外来ネコ問題研究会主催,講演予定者:山田文雄,長嶺隆,諸坂佐利,伊藤圭子,塩野崎和美ほか  
    • 2017年6月6日(水)13:30-15:30.千葉県我孫子市我孫子市湖北地区公民館.我孫子市教育委員会主催.長寿大学「島のノネコ問題」講演.岡奈理子(山階鳥類研究所上席研究員).受講者は長寿大学登録者の1~4年生限定(定員200席で既に満杯)一般に非公開.
    • 徳之島から奄美大島に移動(2017年3月28日)
      奄美大島の会場(2017年3月28日)

      活動の目的・内容

      目的
      1.野生動物や生態系を保全する上で問題となっているイエネコ Felis silvestris catus についての対策に関する研究

      2.野生動物や生態系に対する野生化イエネコの被害実態の把握,対策実態の把握や解決策に関する調査研究

       
      内容
      1.被害の実態と対策の実態の把握
      ・被害低減の対策開発
      ・対策の実効性の評価

      2.対策の提言
      ・法的整備の研究
      ・現行の法制度、法政策の方向性を、フィールドから再検証
      ・現行法の正しい解釈(私には現行法をゆがめて解釈して対策していないように見える)(すなわち、そのためにも法律の専門家が必要)
      ・マネジメントを意識した法政策を新たに提言
      ・政策への提言

      3.普及啓発
      科学的なネコ問題の捉え方、正しいネコの飼い方の普及啓発
      動物愛護とネコ問題の捉え方

      4.海外事例の紹介
      海外事例の紹介

      5.講演会や講習会などの実施

      6.関係学会,業界,一般などへのアピール・提言

      7.マスコミ対応,執筆、学会、シンポなどの活動ほか

      8.その他

      新聞寄稿文(南海日日新聞2017年3月)


      公益財団法人自然保護助成基金(PNF)助成事業 
      「外来ネコ問題研究会主催連続シンポジウム(全5回)」 
      シンポジウム 奄美の自然と“島んちゅ”の未来!!
      ―みんなで考えよう!ネコ問題とクロウサギ、そして世界自然遺産のこと!!
      第1回徳之島 2017326 第2回奄美大島 2017328



      南海日日新聞「ネコ問題シンポジウムに寄せて」
       共に考える機会に 山田文雄 321日掲載)
       多様な種 脅威にさらす 塩野崎和美 322掲載
       屋外飼育の危険性 長嶺 隆 (323掲載
       「ネズミよけ」から「家族」へ 伊藤圭子 324掲載
       実効性ある体制づくり 諸坂佐利 (325掲載)


       共に考える機会に  
      奄美大島や徳之島において,希少種保全に対してノネコ問題がなぜ大きく取りあげられるようになってきたのでしょうか?それまでは,外来種のマングース問題が大きな関心事でしたが,外来種対策が功を奏して効果を上げ,外来種マングースは奄美大島からほぼ排除される段階の根絶近くになり,その結果,アマミノクロウサギなど在来種が復活してきました.しかし,その上前をはねるように,数が増え見つけやすくなった在来種をノネコたちが盛んに食べるようになってきたために,問題が顕在化してきたといえます.もちろん,従来から細々ながら着実に進められていたノネコの捕獲排除対策が,停止されたことも大きな原因にあげられます.
      生物多様性や生態系の保全が重要だという認識が広がる中で,愛玩動物由来のノネコ対策が進まないのは,人間社会内の意見の違いや対立によって,有効な対策の実施を困難にさせているためといえます.ノネコ影響の情報不足,人間側の理解や合意形成の不足,さらには条例や法整備などの社会制度の不備など,そろそろこれらを克服する工夫が必要な時期に来ているといえます.
      私たちは、世界自然遺産候補地の奄美大島や徳之島など,わが国の島嶼が抱えるイエネコによる希少種などの在来種影響や生態系影響の問題を早期に解決するために、生物研究者や法制度研究者,獣医師,行政担当者などで「外来ネコ問題研究会」を作り,2014年から取り組んでおります.これまで,環境省希少野生生物対策室と連携して、奄美琉球の島嶼を対象としたネコ問題に関するシンポジウムの開催(東京,大阪,福岡,横浜)や,国際学会や国内学会でのシンポジウムの開催(札幌,沖縄)などを実施し,解決策の検討や普及啓発活動を進めてきております。ネコ問題を解決するには,問題の現状をよく知ることが重要で,今までどおりの方法や対策では問題解決に限界があることがわかってきました.
      今回のシンポジウムは、公益財団法人「自然保護助成基金(プロ・ナトゥーラ・ファンド助成,PNF)」の助成事業として,外来ネコ問題研究会主催による全5回の連続シンポジウムの一つです.具体的には,今回の3月(徳之島と奄美大島の2回)と夏ごろに予定されているIUCNの現地調査が行われる前後の時期に、奄美大島と徳之島での2回のシンポジウムを開催し、さらに9月頃に他地域のノネコ問題を抱える全国の島嶼も含めたシンポジウムを東京で開催することを計画しています。
      今回の3月のシンポジウムでは,奄美大島や徳之島において,不適正飼養されたネコが絶滅危惧種のアマミノクロウサギやトゲネズミなどにどのような脅威をもたらしているのか,そしてそれを早期に対策を立て,正常な自然生態系を取り戻すにはどうすればいいのかという問題について,私たちの専門家から講演します.それらを踏まえて,会場にお越しの方々と建設的な議論を展開し,この問題を共有し,世界遺産登録やその後の管理に向けての方向性を見いだせればと考えています.この問題を共通して解決させようと,地元の団体や環境省および地元自治体など多数の共催や後援をいただいております.
      ネコに関心のある方,島の自然に関心のある方,あるいはそのどちらにもまったく関心のない方も,是非とも会場に来て,私たちの話を聞いていただき,議論に加わっていただければと思います.自分たちの島の問題とは何か,その問題をどうしたいのか,どうしたくないのかを一緒に考える機会としていただいてはいかがでしょうか? 
      山田文雄 (外来ネコ問題研究会.森林総合研究所)

       
       多様な種 脅威にさらす
      世界自然遺産登録を目指す奄美大島・徳之島では、希少動物の脅威となっているノネコへの対策が大きな課題であり、その対策に関する報道がテレビや新聞紙面を飾ることが増えているため、ノネコについて目や耳にしたことがある島民も多いでしょう。ノネコとは「人に依存せず山野で自活し野生化したイエネコ」のことですが、少し前まではノラネコやヤマネコと混同する方も少なくありませんでした。しかし最近はそれが何者であるかの認識も非常に高くなっていると感じています。同時にこのノネコが島を代表する希少動物のアマミノクロウサギを襲っていることもかなり知られてきました。そんな両島のノネコ問題がクローズアップされつつある中、今年1月19日に徳之島で起きたクロウサギをくわえるノネコの姿が自動撮影カメラで撮影されたとの報道は記憶に新しいと思います。大々的にテレビニュースで全国放送され、日本中にこの事実が知られることとなりました。
       しかしながら奄美大島・徳之島のノネコ問題とは、クロウサギが襲われ食べられるといった単純なものではありません。どちらの島も世界自然遺産登録を目指そうとする自然豊かで生物多様性に非常に富んだ島々です。さまざまな野生動物が生息する自然環境の中で生活をしているノネコが、クロウサギだけを襲っているなんてことはあり得ません。事実、ノネコが餌としている生き物は多岐にわたり、中でも特にネズミ類を好んで食べることがさまざまな研究から明らかになっています。そしてこの奄美大島・徳之島には希少な天然記念物であるネズミ類が3種(ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミ)も生息しているのです。もちろんこれらがノネコの餌となっていることも明らかになりました。加えて島には外来種のクマネズミが豊富に生息し、ノネコにとっては非常に多様で魅力的な餌が存在する環境となっています。その結果、ノネコの脅威にさらされる動物も多岐にわたるといった望まれない状況を生み出しているのです。また奄美大島と徳之島、距離も近く似た自然生態系を持っていますが、森林面積は大きく異なり、生息している野生動物の数なども異なることから、ノネコが主な餌としている動物も両島で違いが見られることも徐々に分かりつつあります。
       奄美大島・徳之島におけるノネコは、元来島には生息していなかった外来性の肉食哺乳類であることが最大の問題ですが、さらに悪化させる原因は皮肉なことに島の魅力でもある多様な生物相がノネコに山中で自活し繁殖できる環境を与えていることにあります。餌となる動物が豊富で、気候も温暖な環境では、ノネコの数が自然に減少することはあり得ません。その時が来るとすれば、山に餌となる動物が激減もしくは絶滅してしまった時でしょう。もちろんそれでは手遅れです。世界自然遺産登録を目指す両島の生物多様な生態系にはクロウサギだけではなく、希少な3種のネズミ類、ルリカケスやアマミヤマシギといった鳥類、アマミハナサキガエルなどの両生類、さまざまな昆虫類の存在が不可欠ですが、ノネコは必要とされていないどころか存在してはいけない生き物なのです。
       塩野﨑和美(奄美野生動物研究所)


       屋外飼育の危険性
       奄美大島、徳之島には肉食の哺乳類は生息していない、すなわち現在、生息している島のネコたちは、すべて島外から持ち込まれたことになる。ネコは元々、ネズミから食料を守るハンターとしての役割を期待されながら飼育されてきた歴史があり、現在ではもっぱらその愛らしさから愛玩動物としての役割が大きいといえる。ペットとしてのネコの存在は、時として人の暮らしを変えてしまうほどの魅力を持っている一方、時として、島の財産を根こそぎ奪ってしまうほど大きな影響力を持っている。北海道の天売島、御蔵島、石川県舳倉島の海鳥繁殖地や渡り鳥被害、小笠原や沖縄県のやんばるのヤンバルクイナ等の希少種の捕食など国内の多くの島々でのネコによる被害は枚挙にいとまがない。
      特にわが琉球列島の生物たちは肉食の哺乳類がいなかったため、うまく対応し、逃げるすべを持ち合わせていない。原因は明確で、本来家畜として人間が責任を持って管理をしなければならないネコが自由にハンティングを行い、野生動物のように振る舞っていることに起因している。牛や豚が住宅街から山林を自由に歩き回っていることが受け入れられるはずもないが、ネコはそれを許されていることの異常さに気付くべきである。ネコの不適切な飼育状況からすれば、牛や豚の飼い主の管理は格段に上だといえる。また、ネコのみがその感染源となっているトキソプラズマという原虫は、人の妊娠初期の妊婦に感染すると胎児にトキソプラズマ症を発症させる恐れがあり、しかもその感染率は必ずしもネコの飼育者が高いというわけでは無い。屋外飼育されているネコやノラネコが排せつしたふんの中に含まれるトキソプラズマのオーシストという卵みたいなものが家庭菜園や農作業をしている人々に感染する可能性が高いと言われている。飼い主ならいざ知らず、この被害が無関係の人々に及んでいる可能性があるとしたらどうだろうか。
      さて、奄美大島、徳之島そして沖縄では、屋外飼育のネコにはハブ対策や家畜小屋のネズミよけという役割があることも分かる、しかし、屋外飼育のネコの多方面に及ぼす被害を考えれば、もはや屋外飼育を正当化する理由はない。今後は、走行中の車両が路上を徘徊する多くのネコを回避するために発生する交通事故の問題が顕在化してくる可能性が高いと予測している。このことはネコ自身にも不幸が降るかかることを意味しており、飼い主は多くの感染症や事故からもネコを守る義務がある。
      これらの課題に果敢に取り組み、成功した事例がある。2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島の父島では、すでにノラネコがほとんど姿を消す状況まできている。今回奄美大島、徳之島、やんばると一緒に世界自然遺産登録を目指す西表島では、森林内にノネコが生息していないレベルに達している。大切なことは両島ともに飼い猫もたくさんいるという事実である。そのことを成しえたのはやはり、ネコの適正飼育に協力してきた島の人々の努力と、適正飼育を実現できる仕組み(ネコ条例)を作った行政とNGOの協力であったと言える。奄美大島と徳之島にもすでにその準備ができつつある。最後にそのスイッチを押すのは島民の決断だと思う。
      長嶺隆(NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄理事長)



       「ネズミよけ」から「家族」へ
      一般の小動物の診療をしていると、外に出る飼い猫の多さに島に来た当初は驚いたものです。避妊手術するメス猫も、「何回も出産しているのよ」とお話しする方がいますが、その子猫たちがどうなっているかは聞けません。「ネコの寿命は15年前後ですよ」「5~6年もしたらどこかに行って帰って来なくなるものではないの?」。そんな会話もよくある話です。大切にしていないわけではないようです。しかし、命を預かっているという意識がまだまだ希薄なのでしょう。
      猫も犬も、言葉に少し違和感があるかもしれませんが「家畜」のカテゴリーです。つまり、私たち人が管理し面倒を見て、人とともに生きる動物なのです。人の管理の外で自由に生き、繁殖し、死んでいく野生動物とは完全に別物です。しかし、猫はなぜかこの「自由」「野生っぽさ」を求められるところが根強くあります。外に出ることは最たる自由の象徴でしょうか。言葉の通じない動物、帰って来ないかもしれない。明日交通事故に遭うかもしれない。ハブにかまれるかもしれない。どこかの庭をトイレにして、誰かの怒りを買っていないと断言できるでしょうか? しかし、「たとえどこかで死んでも、自然の成り行きだから」と妙な納得をしている方がとても多いのが現状です。
      ペットは人の管理の下で。社会で生きていくためには必要なことであり、当然でもあります。私たちの生活スタイルもずいぶん変わりました。ペットも同じで、猫だけがいつまでも「昔と同じ」とはいかないのです。何よりも、ペット自身の安全や健康のために、きちんと管理することはとても大切なのです。飼い方も番犬やネズミよけから家族・伴侶へ。飼い主としての責任が問われる社会へと変わっている過渡期だと思います。
      20年も前は野良犬が群れをなして市街地をうろついていたと聞きます。今ではリードのない犬が1匹で歩いていたら「どうしたのだろう?」と思うでしょう。保健所に通報が行き、飼い主の元へ戻されます。以前は「野良犬がいなくなるなんてできるわけがない」と言った人もいたのではないでしょうか。今やそれが当たり前になっています。猫とは少し事情が異なりますが、当時の人たちが尽力したことには変わりありませんし、飼い主の意識が変わっていったからでしょう。猫では不可能でしょうか? 時代は少しずつ変わり、社会というのはいつの間にかその姿が受け入れられていきます。奄美大島に来て丸3年が経ち、室内飼いも増えたように感じています。
      ノラネコがのんびり寝そべっている光景は「癒やされる」と思うかもしれません。しかし、雨の日も寒い日も台風でも帰る家はなく、食餌もまともにありつけないかもしれない。病気になっても誰も助けてはくれないという「現実」に気付くことができれば、少しずつ変わっていけると思います。「家畜」であるはずの猫だけが野良で生きていることを良しとしてはいけないのです。野良犬がいつしかいなくなって、それを「寂しい」という人は少ないと思います。それと同じように、野良猫もいなくなるでしょう。それは寂しいことではなく、ペットが伴侶動物として社会になじんでいく過程と結果なのだと思ってもらいたいです。
      伊藤圭子(ゆいの島どうぶつ病院院長)


       実効性ある体制づくり
      奄美大島、徳之島、沖縄県のやんばる地域、そして西表島の世界自然遺産登録に向けた動きが正念場を迎えている。今夏以降には国際自然保護連合(IUCN)の現地視察も控え、ここで勝負が決まるといっても過言ではない。当地における遺産登録の要は、ネコ問題である。放し飼いのネコの一部は、完全に人の手を離れ野生化してしまい(法律上「ノネコ」と呼ぶ)、アマミノクロウサギなどの希少種を捕食、絶滅へと追い込んでいる。この問題の解決なくして「登録」はあり得ない。
      問題解決の方策の一つは、鳥獣保護法に基づくノネコの捕獲・排除をいかにスピーディに実現できるかである。通常、シカやイノシシは、生来の野生動物であり、食肉・皮革産業の資源でもあるから、殺処分を前提に捕獲されるが、ノネコはそういった資源価値がないばかりか、放し飼いのネコ(ペット)が紛れているかもしれないところから、生け捕りにして所有者の有無を確かめ、所有者なしと判断されると動物愛護の精神から順化(保護収容)する。それだけコスト(時間、費用、手間)がかかる。
      もう一つの方策が飼い猫をノネコ化しないことであるが、こちらは動物愛護法が推奨する適正飼養(室内飼養、マイクロチップ装着などの所有明示、不妊去勢、予防接種)を飼い主が順守さえすれば解決となる。しかしネコは、元来、ネズミ駆除のために飼っていた背景があるため、放し飼いを世の常としてきた。今でもネコの室内飼養に否定的な人も多いと聞く。
      アマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミの絶滅が先か。ネコの捕獲・排除を先行できるか。この問題は時間との勝負である。しかるに筆者は思うのである。島民の自然に対する慈愛・畏敬の成熟度を測る問題、翻れば、島民の利己心、傲慢さを測る問題でもあると。
      世界自然遺産は、「登録」がゴールではない。登録後は6年ごとにユネスコへの報告義務がある。すなわち人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持続できているかの監査が待ち受けているのである。「危機遺産」という言葉を聞いたことがあるだろうか。武力紛争、自然災害、大規模工事、都市開発、観光開発、商業的密猟などにより、その顕著な普遍的価値を損なうような重大な危機にさらされている世界遺産をいい、2016年12月現在55か所が登録されている。われわれは、単に「登録」を目指すだけでは足りず、この貴重な自然を守り続ける法制度・体制づくりこそが必要なのである。これにはわれわれは自然に対して常に謙虚でなければならない。自然を破壊するのは、ネコではない。そのネコを野外に放置した人、この問題に無関心な人である。ネコ問題とは、人の問題である。自然のことは自然に任せておけばいいという意見も時々聞かれるが、ネコは元来自然のものではないのであるから、ピントがずれていると言わざるを得ない。貴重な自然の恩恵があってこそ島民の暮らし、アイデンティティーは育まれてきたはずである。それを後世に引き継ぐのは、島に生きる者の使命であり、責務でもある。しかしそれは島民のみに一方的に押し付ける問題でもない。類いまれな日本の自然は国民の財産でもある。この問題は、オールニッポンで考えていかなければならない。
      諸坂佐利(神奈川大学法学部准教授)